秋の夜長に
人に憂い(かなしみ)があって「優しい」と読むのはご存じですね。
人に夢で「儚い(はかない)」と読むのもご存じでしょう。
それではこれはどう読むでしょうか。
――人に為(ため、なす)――
そうです、「いつわり」「にせ」と読み、あまり良い意味で使われないのが実情であります。
この言葉が出来たいきさつはわかりませんが、人の為に施すことが偽善だということでは決してないと思います。
本来「情けは人の為ならず」と同様の意味ではないでしょうか。
人の為ではあるが、それは巡り巡って自分に寄与する。
秋の夜長に日本語の奥ゆかしさを考えるのも味わいがあると思います。